こんにちは!
埼玉県東松山市に拠点を置き、こだわりを持った家づくりを信条としている有限会社宮一技工です。

今回は、ドイツなど海外の大工の事情を含めながら、『日本における職人(大工)の地位』についての考察をお伝えしていこうと思います。
というのも、2019年、2012年とドイツに滞在して向こうの大工や職人について知る機会があり、そのことがきっかけとなって日本とドイツ両国の大工について考えるようになったからです。
ドイツとのつながりができたのは、2010年にjourneymanと呼ばれる「遍歴職人」が弊社に日本の技術を学びにきたことでした。
日本にもドイツにも大工や職人はいますが、その在り方はかなり異なります。
大工や職人がというよりは、社会や土壌があきらかにちがうというふうに思います。
そのことがよくわかるエピソードについてお話ししましょう。

煤をつけてもらうと幸運が来る

ドイツの街中を歩いていたときのことです。
煙突掃除屋さんと行きあったんですね。
黒いシャツに黒いジャケット、黒いズボンを着用して、肩には大きなワイヤーの束をかついでいます。
ワイヤーは細かい煙突を掃除するためのものですから、いわば商売道具です。
煙突掃除屋さんは、いままさに仕事を終えてきたのか顔も手も煤で真っ黒でした。
驚いたことに彼の回りに子供たちが集まってきて、我先に煤のついた彼の手や身体に触れています。
親たちも子供たちの行為を止めるでもなく、むしろ「いけいけ」というふうにはやし立てている節さえあります。
不思議に思って「なにをやってるのか」と聞くと、子供たちが口々に「煙突掃除屋さんに煤をつけてもらうと幸運が来る」と言うわけです。
驚きました、日本では「汚い、近づかないで」と言われることはあっても、こんなふうに歓迎されることは考えられないとも思いました。
そういうジンクスの生まれる土壌がある。
それが意味するのは、職人を受け入れる豊かな社会がドイツに存在するということではないでしょうか。

日本における職人(大工)の地位

日本における大工や職人の地位は、ドイツと比較すると低く見積もられているというふうに感じることがあります。
大工の仕事は多岐に渡り、それに伴って求められる能力もさまざまです。
屋根に上がる、重い材料を担ぐというフィジカルな能力はもちろん、墨付きなどに必須の計算能力や仕事をスムーズに進めるための意思伝達能力も必要です。
さらに棟梁クラスになると若い職人をまとめる統率能力、お客様と話すための営業能力なども求められるわけです。
求められる能力や責任が大きいわりには、給与は安く抑えられていますし、社会的に認められているとは言えないというのが現状だと考えています。

日本とドイツの職人の地位の差はどこから来るのか

ドイツの大工や職人の地位が高く、社会に認められているのには、それなりの理由があります。
聞いたことのある方もいらっしゃるかもしれませんが、ドイツには国の定めるマイスター制度があります。
資格取得は難関だとされていますが、そのかわり取得した後の待遇はかなり手厚いというメリットがあります。
先述の煙突掃除屋さんもれっきとしたマイスターです。
もちろん大工のマイスター、左官のマイスターも存在します。
大工は黒のベスト、左官屋さんはグレイのベストというふうに、職種ごとのユニフォームが存在するというのも興味深いところです。
ユニフォームを見ればどの職種のマイスターであるかが一目瞭然であり、それが職人の地位を確固としたものにする一助となっています。
ドイツでは職人の組合がしっかりと確立していて、たとえ個人事業主であっても請負金額の半額を組合に納めることで、有給休暇の取得、労災面のフォローが為されます。
また60歳過ぎからは、これまでの年収の63%ほどを死ぬまで支給されるというセーフティネットがきちんと準備されています。
大工だけでなく、職人の地位を確立し守る仕組みを残すことについて、国を挙げて取り組んでいるという印象を持ちますし、職人を受け入れるという文化が根付いているのだと思います。

日本とドイツの技術伝承のちがい

日本の職人技について話すとき、「暖簾わけ、一子相伝、秘伝」などの言葉をよく聞きますよね。
日本の職人技はどちらかという秘密にして守り続けるという点に重きを置くのですが、ドイツが目指すのは技術の平準化です。
いいものはどんどん取り入れ、かつ多くの人に伝えていこうという意志を感じます。
最初にお話ししたjourneymanのドイツ人は、日本で23か国目だという強者でしたが、これまでに得た技術や知識を惜しみなく日本でも披露してくれました。
私どもも技術を広く伝えていくということに賛成ですから、彼に日本の技術を伝えたわけです。
journeymanとの交流で強く感じたのが、ドイツのみならず全世界的に大工の技術を高めたいという彼らの高い理想でした。
まさにこれからの時代にマッチした考え方だと思います。
そんなjourneymanですが、最終的にはドイツに帰り、これまで学んできたことを故国に還元したいという考えを持っています。
海外の大工に触れることで、より広い視野を獲得することができましたし、日本の大工としてどう生きていくかということを考えるきっかけにもなりました。

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最後までご覧いただき、ありがとうございました。


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